集中力って本当に必要?
今回ご紹介する本は、集中力はいらないです。
勝間和代さんがYouTube動画で紹介していたので気になり読んでみました。
集中力をもっと身につけたい!という思いから集中法と名のつく本は今までも読んできました。しかし、本に書かれたノウハウを実践しつつも、集中力を身につけるのはなかなか難しく感じます。
集中力は必要なもの、身につけるべきことと思い込んでいましたが、この本は全く逆で集中力はいらないと言っています。
とても興味をひくタイトルでした。
ご紹介する本
- 集中力はいらない
- 著者 森博嗣
- 初版発行 2018年3月
失敗する原因は集中してないから?
集中することはとてもよいことと世間一般では言われています。
この本の著者である森博嗣さん自身も「もっと集中しなさい!」と言われるような落ち着きのない子供だったそうです。
集中することが良いことと言われる理由として、失敗すること=注意散漫という考えが根底にあるからではないかという著者の意見があります。
でも人はミスをする生き物。
だから、仕事をする上でもミスをしないために、複数回チェックしたり複数人で確認したりといったことをすると思います。もしくは機械化することでミスを生み出さないようにしてきました。
でも、集中して人に機械のように失敗しないことを求めるのって、機械的になれ!って言っているのと変わらないのではないでしょうか。
というのが著者の主張です。
2つの集中
この本では2つの集中について書かれています。
- 一つのことに絞る集中
- 「だらだら」しない集中
あれこれと手を出さずにひとつのことに絞る集中と、だらだらと時間をかけてやらない効率的になる集中です。
ちなみに、この本でいってる「だらだら」とは、
- やるべきことに目が向いていない
- 目の前のことに集中せずに頭が別のことを考えている
状態のことをいっています。
では、本当に「だらだら」していることが悪いことなのでしょうか?
僕もですが、やるべきことや目の前のことになかなか集中できないことで悩んでいる人は世の中に多くいらっしゃると思います。
しかし、著者の意見としては、だらだらすることは悪いことではないです。
あれこれと目移りすることは、たしかに目の前のやるべきことの効率は下がっているかもしれないません。だけど、頭の中で考えている別のことで成果を出している可能性があると言っています。
また、一つのことに絞るという集中が本当によい集中なのかということについても書かれています。
集中力は大事だけど…
この本で勘違いしていただかないで欲しい点があります。
それは筆者の森博嗣さん自身は集中すること自体が悪いことではなく、集中はむしろ大事にすべきこととおっしゃっている点です。
著者はどちらかというと深く短く集中するタイプだそうです。
同じことを長くは続けられないけれど、たくさんのことを少しずつやるそうで、むしろ一つ一つに集中でき、かえって効率がよくできるそうです。
集中することが良いとされる世の中で、
- 集中力にこだわることが果たして本当に良いことなのか?
- 集中することの弊害はないのか?
- 必要なこと以外に集中してしまうことは悪いことなのか?
という具合に、世の中の集中力信仰という考え方に疑問を投げかけています。
本来の力は集中をやめることから生まれる
現在は作家として活動されている著者は研究者だった時代もあり、仕事として共通していることは「考えること」が仕事であったことです。
働く内容がはっきりしているいわゆる普通の仕事との大きな違いは、課題がを与えられるわけでもなく、何について考えるかということすら自分で探していかなくてはならない仕事であったことです。
「発想すること」が仕事である著者にとって、一つのことしか考えない「集中」はかえって逆効果であると言っています。
むしろ別のことを考えたり、あれこれと目移りする方がかえって発想しやすいことを経験的に知ったそうです。
大事なことは「集中」は良い悪いではなく、向いてることと向いてないことがあると書かれています。
この本の感想、やる気について
自分に刺さった内容はいくつもありましたが、インタビュー形式になっている2章と6章は、著者の集中力や頭の使い方についてなどが経験を交えて書かれているので参考になることが多かったです。
その中で、やる気について触れている箇所があります。
やる気よりも体調
やる気やモチベーションといったものよりもまず大事にするのは体調と書かれた部分には納得しました。
体調の悪い時でも仕事をするという著者は、作家活動には体力はあまりいらないけれど、趣味である工作をするためには体力が必要で、体調が悪いとできないからだと言っています。
何をするにも体調がよいに越したことはないですからね。
やる気ではなく、やるかやらないか
やる気というのは、このことをすると未来が楽になる、良いことがあるという推測であって頭で考えたことと書かれています。
つまりやる気は感情や本能的なものではなく、じつは頭で考えた理性的なものだということです。
どういうことかというと自分はこのように解釈しました。
- 例えば、筋トレをするぞ!というやる気がある
- なんで筋トレをするモチベーションがあるのか?
- 細マッチョになりたいから
- なぜ細マッチョになりたいか?
- 女性にモテそうだから
筋トレをすること自体のやる気は本能に基づくものではなくて、筋トレをすることで女性にモテるんではないかという期待で頭で考えたこと。
行動の根底に女性にモテたいという動機がやる気と関係があるわけで、筋トレをすることのやる気はじつは感情からくるものではないわけです。
たしかに言われてみると、叶えたい夢やビジョンを思い出すからやる気につながるわけで、ただ単に筋トレするぞ!だとつまらなくてやらない日も出てきますよね…。
仕事も同じで本能的な欲求で仕事をする人はほぼいなく、仕事をしないとお金がもらえないと理性で考えてることがほとんどでしょう。だから仕事や勉強を嫌でもするわけです。
結局はやる気ではなくやるかやらないかが大事なことであって、やるために必要なものは計画だといっています。
うっ…、サボり癖のある自分にとっては痛いけどありがたい言葉…。
やる気のコントロールはしない
そもそもやる気というものを持ち合わせていないという著者。
やる気というものはまずやり始めることで自然に出てくるものであって、毎日の習慣にしているそうです。
嫌いだったら嫌いなまま、後ろ向きな気持ちでやればよいと言っています。逆に楽しさを求めようとしすぎることで、ちょっとしたことにつまずきやすくなるとも言っています。
集中力を手放す
僕は集中力のアップを目指しながらも、集中しなきゃいけないという思い込みは手放すことにしました。
この本を読んでみて、集中するということに対して一度深く考えてみてはどうでしょうか?
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お試しで、まえがきや目次だけでも読んでみましょう!
集中力に関する本はこちらでも紹介しています。