夏だから毎日エアコンを使っていたけど、電気代ってそんなに上がる?
2024年の8月、9月分の電気代が跳ね上がっており驚きました。
心当たりは毎日のエアコンといつもより多めに回した乾燥機の使用くらいです。しかし、跳ね上がっていた電気代の要因には電気の使用量以外にもありました。
今後も電気代の値上がりは続く傾向と言われています。
そこで、電気代を無理なく抑えるためには?電気代の仕組みを知っておいた方がよいと思い、電気代にまつわる基本的なことを学ぶことに。
アラフォーになっても知らなかったことが多く恥ずかしいのですが、電気代について学んだことをまとめてみました。
ちなみに現在使っている電力会社はシン・エナジーです。
※この記事には独学のため間違った解釈の知識が載ってる可能性があります。
電気代の明細をよく見ると理解してない項目だらけ
今まで電気代はクレジットから引き落とされた金額しか見ていませんでした。
電気代が急に上がったといっても何がどう上がっているのか分かっていません。
まず電気代の明細をよく見る必要があります。
シン・エナジーの毎月の明細の内容は以下です。
- 基本使用料
- 1段料金
- 電源調達調整費
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金
- 支払方法登録割引
- 容量拠出金相当額
となっています。
基本使用料、1段料金、支払方法登録割引は分かりますが、その他よく理解していない項目が電気代として引かれています。
その中でも、急に上がった電気代に一番影響していたのが電源調達調整費でした。
今までトータルで安く収まっていたので、あまり明細内容を細かく気にしていませんでした。
しかし、電気代の上昇を機に明細のひとつひとつの項目を理解することにしました。
そもそも電気代はなぜ上がっている?その背景
まず、電気代が上がりつつある背景について調べてみました。
主な原因は2つあります。
- 火力発電の燃料価格の高騰
- 電力の供給力不足
が主な原因としてあげられます。
燃料価格が高騰したから
現在、日本の電力の70%は火力発電に頼っています。(2022年度)
2022年度の国内の発電電力の割合は、化石燃料による発電、いわゆる火力発電が70%以上を占めており、次いで太陽光(9.2%)、水力(7.6%)、原発(5.6%)、バイオマス(3.7%)、風力(0.9%)、地熱(0.3%)という順で構成されています。
【2024年版速報】 日本における発電の割合は?再エネ発電の現状とあわせて解説
そして、日本の電力のほとんどを賄っている火力発電に使われる燃料には、
- 天然ガス
- 石炭
- 石油
があります。
これらの化石燃料価格が上がっていることが電気代に大きく影響しています。
天然ガス、石炭の価格上昇の背景には、
- 天然ガスの需要増
- ロシアからの化石燃料の輸出が制限されている
- 新型コロナウイルスによる世界的な経済の停滞があった
というのがあります。
天然ガスの需要が増えているのは、CO2の排出が少ないからという理由です。どちらも化石燃料ですが、石炭から天然ガスへ切り替えが進められています。
電力供給不足も原因にある
電気代が上がっているもうひとつの背景として、国内での電気の供給力が不足していることもあります。
電力が供給不足になっている理由は、原子力発電と火力発電が縮小しているからです。
まず、東日本大震災がきっかけとなり、国内での原子力発電所の稼働率が抑えられました。
それに加え、日本の電力の70%を占める火力発電所の数も減ってきています。
日本の電力の70%を占める必要な火力発電所まで減っている理由は、
- 電力の自由化により採算の取れない古い発電所が停止している
- CO2の排出の少ない再生可能エネルギーへの切り替えが進められている
というのが背景にあります。
電気代に一番影響してた市場価格調整制度と燃料費調整制度
電気代が上がっている背景が分かったところで、電気料金に大きく影響していたのが電源調達調整費だったと冒頭でお伝えしました。
この電源調達調整費とは、電力を仕入れた時の価格の差分を電気料金に反映させたものです。
大手の電力会社を除いて、電力の自由化により新規参入した電力会社のほとんどが自前の発電所を持っていません。
なので、電力市場から電気を仕入れて需要家(消費者)へ電気を届けることになります。
しかし、電気代の単価を固定してしまうと、仕入れ値が高い時は電力会社が、仕入れ値が安い時は消費者のどちらかが損をしてしまいます。
電気は生活をする上で欠かせないものです。
仕入れ値が高い時に電力会社だけが負担するだけにしてしまうと、いずれ電力会社が潰れてしまうかもしれません。電気が使えなくなると困るのは需要家です。
かといって、仕入れ値の値上がりを需要家だけが負担する形にすると、生活費の大きな負担になってしまいます。
なので、生活に必要である電力を維持する上で、電力会社も需要家もどちらも損をしないように生まれた制度です。
電気の仕入れ値が高い時は消費者側も負担することになりますが、安い時は電気代を安く利用することができます。
市場連動型と呼ばれる料金プラン
電源調達調整費はいわゆる市場連動型と呼ばれる電気料金です。
市場連動型呼ばれる料金プランには、
- 市場価格調整制度に基づく料金プラン
- 燃料費調達制度に基づく料金プラン
の2つがあります。
市場価格と連動して価格が決定される点は市場価格調整制度も燃料費調整制度も同じなのですが、計算の元となるものが違います。
- 市場価格調整制度▶︎毎日の電気の卸値が反映される
- 燃料費調整制度▶︎過去3ヶ月の火力燃料の平均価格が反映される
2つの違いは、
- 電気の価格から計算するのか?
- 化石燃料の価格から計算するのか?
の違いです。
市場価格調整制度とは?
市場価格調整制度とは、
- 卸電力取引所(JEPX)のスポット市場価格の変動を電気料金に反映させたもの
- スポット市場価格とは卸電力取引所がおこなう取引のひとつ
- スポット市場の電気の取引価格が反映される
- 30分ごとに電気代が変わる
というものです。
市場連動型のプランは選んじゃダメという発信をSNS動画でよく見かけますが、スポット市場が反映されるプランのことを指していると思われます。
ちなみに卸電力取引所、JEPX(Japan Electric Power Exchange)とは、
- 日本で唯一電気取引ができる市場
- 発電事業者から電気を買って小売事業者に売っている
- 一般社団法人日本卸電力取引所が運営している
- 電力の自由化にともない2003年に設立
です。
燃料費調整制度とは?
シン・エナジーでは、燃料費調整制度に基づき電源調達調整費という名目で毎月の明細に載っています。
燃料費調整制度とは、
- 火力燃料の価格変動を電気料金に反映させたもの
- 原油、LNG、石炭の貿易統計価格に基づく
- 3ヶ月の平均で毎月の燃料価格が決まる
- 電力会社によって記載される名目や計算方法が違う
です。
電源調達調整費は、電力会社によって名称と計算法が違います。
ご自身の使っている電力会社のホームページで名称と計算方法を確認するとよいです。電力会社のよって負担額にかなりバラつきがあります。
電気代を無理なく節約するなら、各電力会社の電源調達調整費に注目する必要があります。
また電力会社によって、推してる層が違います。
ファミリー向けプランを推してる電力会社もあれば、単身向けプランを推してる電力会社もあります。
再生可能エネルギー発電促進賦課金について
再エネ賦課金の単価が上がっていることも電気代上昇のひとつの要因になっています。
賦課金という形で毎月の電気代から払う
電気代の明細をよくみると再生可能エネルギー発電促進賦課金という項目があります。
略称で再エネ賦課金と呼ばれており、再生可能エネルギーの固定価格買取制度から発生している賦課金です。
賦課金とは、電力以外にもみんなが使うもの(農地など)に対して、国や地方自治体が国民や企業に対して税金という形で負担してもらうお金のことを言います。
毎月の電気代から賦課金という形で支払います。
再エネ賦課金は税金のようなものなので、どの電力会社と契約しても使った分だけ負担することになります。
再生可能エネルギーの固定価格買取制度ってなに?
では再生可能エネルギーの固定価格買取制度とは何かというと、
再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。
経済産業省資源エネルギー庁より
となっています。
再生可能エネルギーはCO2の排出が少ないクリーンなエネルギーといわれています。国としては再エネを進めていきたい考えがあります。
しかし、再生可能エネルギーを使った発電は原子力発電や火力発電よりまだまだ割高で、お金がかかります。
なので、再生可能エネルギーの買い取りを国が約束することで、再生可能エネルギー事業の運営を行いやすくするという制度です。
再生可能エネルギーの固定買取制度は経済産業省の資源エネルギー庁が管轄しています。
FIT・FIP制度という名前でも呼ばれています。
- FIT(Feed-in Tariff)入れる、送り込む 関税、運賃
- FIP(Feed-in Premium)入れる、送り込む 割り増し
再生可能エネルギーについて分かりやすい資料はこちらです。
>>経済産業省資源エネルギー庁「再生可能エネルギー固定買取制度ガイドブック」
再生可能エネルギーって具体的になんのこと?
再生可能エネルギーは、文字通り再生が可能なエネルギーのことで、
- 太陽光
- 風力
- 水力
- 地熱
- バイオマス
というのがあります。
厳密には太陽熱や自然界に存在する熱も再生可能エネルギーとして含まれるようですが、発電のエネルギーとして使われるのは上記の5つです。
再生可能エネルギーには共通する3つの特徴があります。
- 枯渇することがない
- どこにも存在する
- CO2を排出しない(もしくは排出が少ない)
という特徴です。
自然界に常に存在するエネルギーになります。
法的な定義は、
非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用できると認められるもの(法第2条第3項)
関西電力ホームページより
となっています。
需要と供給のバランスを保つための容量拠出金相当額
明細の一番最後に載っていた容量拠出金相当額。
読んだだけでスルーしたくなる項目でしたが、毎月わずかな金額とはいえ無視できない項目です。
容量拠出金相当額とは容量拠出金制度に基づく負担金です。
容量拠出金制度はひとことでいうと電気の需要と供給のバランスを保つための制度です。2024年の4月から始まっています。
そこで過去の明細を遡ってみると、たしかに2024年5月分から容量拠出金が引かれていました。
電力会社が容量市場(電力広域的運営推進機関OCCTO)で取り引きした電気容量の費用の一部を、拠出金として毎月の電気代から負担しています。
最初はネットで調べてもさっぱり意味が分からなかったのですが、ざっくりとした説明は以下です。
容量市場とは?始まった背景と拠出金
容量市場が始まった背景には2002年の電力の自由化があります。
電力の自由化により、電力事業への新規参入が増えました。
電力の自由化が始まったことで、使う側としてはより安く電力を使えるようになったメリットはあるのですが、デメリットとして、発電事業者は採算の取れない古い火力発電所を止めざるを得なくなりました。
また、東日本の震災もあり原子力発電の稼働も抑えられています。
そして、電力の供給力が次第に落ち始め、需給のバランスが崩れ、電力の価格高騰が起きはじました。
再エネ促進として太陽光や風力発電も行われていますが、天候に左右されるため供給量が不安定です。
なので、安定した発電力のある火力発電にはまだまだ頼らないとならない状況です。
しかし、火力発電所を減らさないためには、安定した収益が必要になります。
そこで、火力発電も含めた電気供給事業者がある程度の収益が見込めるように、そして電力の需要と供給のバランスが崩れないように始まったのが、電力の容量市場です。
容量市場という名の通り、電力の取り引きではなく電力容量(使う量)のやり取りをします。
4年後に必要とされる電力量を取り引きしておくことで、発電事業者の収益を確保しておこうという仕組みです。
電力会社(販売する側)は電力市場(OCCTO)に対し拠出金として取り引きのお金を払いますが、この拠出金が高額なようです。
なので、現状として電力会社としては容量拠出金相当額として個人・企業(使う側)に請求する形となっています。
容量拠出金についてはこちらの記事が大変参考になりました。
>>>しろくま電力「容量市場とは?電力取引の仕組みや開始される背景をわかりやすく解説!」
電気代について学んで分かったこと
今回電気代について学んでみて、どの電力会社がよいのか?どの料金プランが自分にとって最適なのか?は電気代の大まかな仕組みを学んだおかげで、選びやすくなったと思います。
電力会社選びで、電気代を安く抑えるために見るべきポイントは、
- 基本使用料が安い
- 1kWhあたりの単価が安い
- 市場連動型でも燃料費調整制度に基づくもの
あたりが電力会社選びのポイントになりそうです。
個人的にはシン・エナジーから乗り換えの検討の余地はあるものの、急いで乗り換える必要はなさそうです。
長文でしたが、記事を最後まで読んでいただきありがとうございます。
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